ZEN AIR EIHEIJI 2024 審査会 総評
世界のアーティストの禅プログラムへの関心が高まる
プログラムへに関心が高く、多様なアーティストの応募内容、活動計画に高いレベルが見られました。世界的にも注目される禅と禅のまちへの高い関心を改めて感じた審査会でした。
〇黒澤 浩美 氏(金沢21世紀美術館チーフ・キュレーター/学芸部長)
このたびの審査において、世界にこれだけ「禅」に関心を寄せる研究者や表現者がいると知ることは、それだけで大きな喜びであり感心したことでもある。経歴や滞在の動機は各自さまざまであるが、ユニークな視点を持つ提案が、滞在によってどのような変化や展開を見せるか楽しみである。Miao Liは禅の実践の経験もあり、自然の中に素材を探し、自らの手で創作することを通じて、言葉やイメージに頼らない表現を探求している。アジアの出自で西欧に暮らす自身の現在を振り返り、文化的背景の違いを超えるような、あるいは違いを繋ぐ創作活動になるよう期待したい。Camila Svensonは地域の人々との対話と彼等のポートレイトを撮影して「生」の現れを写真に映したいと言う。このプログラムの滞在が、日常に禅の教えが浸透している永平寺町であることを踏まえれば、暮らしの中に入ることで、地域の人々の心の内を動かすような写真を以て、等身大のコミュニティの形を示すことができるものと思う。
〇湊 七雄 氏(美術作家/福井大学教育学部教授)
昨年に引き続き、アーティスト・イン・レジデンスの審査に関わらせていただいた。国内外から109件もの応募をいただき、その中でも特に海外アーティストからの応募が数・質ともに充実していた点が印象的であった。日本の禅文化への関心や、永平寺の持つ影響力の大きさを改めて実感することができた。
レジデントアーティストの審査は、単なる「選ぶ」作業ではなく、どれだけ「マッチング」できるかが重要である。アーティストを一定期間受け入れることで、永平寺という場所やそこに住む人々にどのような変化が起こるのかを見定めることが大切だ。提案されたプランを丁寧に見ながら、その可能性を慎重に評価した。
レジデントアーティストの滞在は短期間だが、その期間に生まれる出会いや発見はアーティストの中でずっと生き続け、彼らの創作キャリアを長期にわたって支えることになる。今回選出された二人のアーティストは、これまでの実績や提案企画の素晴らしさに加え、永平寺との相性も非常に良いと感じた。
このプログラムを通じて、さらなる創造の可能性が広がることを期待している。暖かく見守っていただけることを祈っている。
〇窪田 研二 氏(インディペンデントキュレーター/ZEN AIRディレクター)
今回2回目となる公募では、昨年の応募件数(67件)を大きく上回り、合計109件の応募があった。その中でも特徴的だったのは、海外からの申請が多かったことで、ほぼ世界中の地域から応募があったことは2回目にして早くも「ZEN AIR」が広く認知されて来たことを示している。内容的にも「禅」や「瞑想」の研究や実践を長く行ってきたアーティストからの応募が多く、ZEN AIRでの活動計画も全体的にレベルの高いものが多かったように思う。その中でCamila SvensonとMiao Liは、これまでのアーティストとしての実践に加え、新たなチャレンジを永平寺町で行う計画が明確にあり、本レジデンスに参加する必然性が高いと評価を受け、最終的に本年度のレジデンス・アーティストとして選考された。二人が永平寺町に滞在し、地域住民との交流や禅体験などを通じて、地域とどのような化学反応が起きるのか今からとても楽しみにしている。
