2023年度選出アーティスト
2023年8月中旬にかけて応募者67組に対して一次審査、二次審査を実施。禅・永平寺との関連、地域への波及力、地域資源の活用等の観点を考慮しZEN AIR にふさわしい2名のアーティストが決定いたしました。
9月~12 月にかけて永平寺町へ滞在し、リサーチ、ワークショップ、発表展示を行います。
2023年度スケジュール
9月 アーティストが永平寺町へ。指定のレジデンス(宿舎)で暮らしながら地域をリサーチする。
10月 リサーチ、制作活動、ワークショップを開催。
11月 リサーチ、制作活動、ワークショップを開催。
12月 成果発表。
※アーティストの滞在期間は 9月~12月20日までです。
アーティスト1
大槻 唯我
おおつき ゆいが
1990年 兵庫県⽣まれ
2014年 武蔵野美術大学造形学部映像学科卒業
2019 年 東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修⼠課程修了
2023年 東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻博⼠後期課程修了
現在は、東京を拠点に制作活動を⾏う。
Instagram @_yuiga

被写体となる⼟地の詳細なリサーチに基づき、死と⽣をめぐる⼈の営みや、
風景の背後にある風⼟や場所に焦点を当てた作品の制作を⾏っている。
【主な展覧会、受賞歴】
2015年 第13回写真「1_WALL」奨励賞受賞
2015年 個展「傾がずの原」(ニコンサロン新宿/大阪)
2021年 「『風景』のつくりかた」(⽬⿊区美術館 区⺠ギャラリーBB)
【アーティスト・イン・レジデンス経験】
2023年5月 Back to Basics 、Arteles Creative Center Center(ハウキヤルヴィ、フィンランド)
【これまでの作品】

「泉の果て」
2021-2022 年
archival pigment print
⻘⽊ヶ原樹海を被写体としたシリーズ。死のイメージが先⾏する森の実情、⾵⼟を背景として地元の⼈々の営みが続いてきた場所、⽣に満ち溢れた原⽣林として捉えた。「⻘⽊ヶ原と写真をめぐる場所」と題した論⽂にて博⼠号を取得。
泉(いずみ)はあらゆるものの源泉であり、
泉(せん)は⼈々が還る地下の⻩泉の国でもある。
果ては、世界の断崖かもしれないし、
季節の終わりのような、単に次の何かの、はじまりの予感かもしれない。

「傾がずの腹」
2012-2014 年
chromogenic print
前⽅後円墳を撮影したシリーズ。申請者の制作テーマの⼀つでもある「死から⽣を捉える」ことを志向するきっかけとなった作品。古代の死のあり様から、現代の死に対する態度を問い直すことをテーマに制作。

「Study of Abandoned Mines and Forests」
2019-2020年
chromogenic print
2019 年より断続的に⾏なっている、国内の廃鉱に関するシリーズ。過去のこととして捉えられがちな国内の採掘による⻑期的な環境への影響を問う。現在、国⽴環境研究所の⼀ノ瀬俊明⽒との共同作品を「ファンダメンタルズ」にて進⾏。
アーティスト2
中村 厚子
なかむら あつこ
https://www.atsukonakamura.com/
1982年 石川県生まれ
2005年 武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業
2011年 ロンドン大学スレード美術学校修士彫刻課程修了
現在は、神奈川県を拠点に制作活動を行う。
Instagram @atsukonakamura_studio

自然とは何か?生きるとは何か?自然を単なる資源として捉える近代的自然観や、自然と直接触れ合うことなく生活できる現代の都市生活に疑問を抱いたことから、「自然の循環」や「人と自然の関係」について探究し、制作する。
様々な場所を訪れ、自然と戯れ、地域住民との対話や交流を通して歴史や文化、彼らの自然観を学び、そこで見えてくる私なりの気づきをもとに、現地の自然素材や現象 流木、塩、水、波、気温、風など を用い、〈私が作る部分〉と〈自然が作る部分〉を意識的に組み合わせながら、立体やインスタレーションを制作する。
最近は舞踏をベースに現地で見えるものや感じることを身体で即興的に表す「身体ドローイング」を生み出し、現地のリサーチや制作プロセスに取り入れ、ワークショップも行う。国内外で発表。
【主な展覧会、受賞歴】
2017年 MOT サテライト 2017 秋 むすぶ風景(清澄白河の各所、東京都現代美術館 / 東京)
2019年 瀬戸内国際芸術祭 秋会期(塩飽家/ 香川・本島)
2022年 第29回UBEビエンナーレ(ときわ公園 / 宇部・山口)
【アーティスト・イン・レジデンス経験】
2022年 4月~8月 第29回 UBE ビエンナーレ出品作品制作のため、現地にて滞在制作 (宇部・山口)
2023年 4月~6月 Artist in Residence (BankART 1929 / 横浜)
【これまでの作品】

地神 Jigami Sound of Vitality
制作年:2005
素材:流木、水
サイズ:7.5m x 3.5m x 7.5m
発表場所:武蔵野美術大学卒業制作展、武蔵野美術大学優秀作品展
屋久島の人々の自然観と、島で目の当たりにした自然界の命と水の循環にインスピレーションを得て、制作。
島のある人は「我々は自然の循環のほんの一部に住まわせてもらっている。だから自分たちは自然を汚すことは許されず、自然に従って生きるべきだ」と語った。また別の人は「今日は山が怒っているから、私たちに登山することを許さない」と表現した。
また森では、倒れた木を栄養源としその上で別の植物が成長する生命の循環や、海から上がった蒸気が雲となり、山に雨を降らせ、川となって海へと流れるという水の循環を目の当たりにした。
私は現代において未だこのアニミズム的考えが日常の暮らしに浸透し、自然の生態系が見に見える場所があることに驚き、水と共に山から海へと流れていた流木を用い制作した。

海境 水面のこちら側とあちら側で
制作年:2019
素材:ミクスドメディア
サイズ:可変
発表場所:瀬戸内国際芸術祭2019 本島
地元の潜水漁を営む漁師さんたちから伺った自然観や体験談、そして自らが塩飽の海の複雑な潮流と巨大な干満差に恐怖を感じた体験を元に、スモークとレーザー光線を使って制作。

掘ることは生きること、生きることは掘ること
制作年:2022
素材:宇部の流木、焼き入れ加工、塗装
サイズ:1.8m x 5.2m x 2m
発表場所:第29回UBE Biennale
撮影者:©Hajime Majima
不安や葛藤を抱えながらも、どうにか掘り進めよう、出口に辿り着こう。 もがき、のたうち回り、体をうねらせ、力を振り絞り岩盤に立ち向かう。
